飼育セットの種類と解説

ペット用品「飼育セット」

熱帯魚や水生生物の飼育セットは各社からリーズナブルな価格で提供されていますが、その品質は驚くほど高いクオリティを持っています。何か生き物を飼ってみたいと思い立ったとき、丈夫で飼いやすい熱帯魚や水生生物の飼育がすぐに始められる飼育セットは、初めて生き物の飼育をスタートする場合にもうってつけです。ここではビギナーにも扱いやすく、それでいて基本は押さえた飼育セットについてご説明していきたいと思います。

飼育セットの特徴

飼育セットは飼育の基本と飼育器具の使い方を覚えるのにも最適です。また、経験の長い人にとっても、そのシンプルな構成は、繁殖時の予備水槽としてなど、様々な応用に対応しうるものです。さて、購入の際に飼育セットを選ぶコツは無駄なものが含まれていない必要最小限のセットを選ぶこと。飼育に何が重要なのかを効率的に体験できます。飼育セットは安価な分、見た目は多少落ちますが、その機能はなかなか本格的であなどれません。知識と経験のある人なら、そのセットひとつで、デリケートな熱帯卵生メダカやワイルドベタの繁殖が可能なほど充実しているものなのです。

飼育セットの長所

飼育セットの長所としては次のことがあげられます。

○低予算で必要な器具が揃う
単品でそろえると結構な値段になりますが、ものによっては驚くべき低予算で飼育に必要なセット一式が手に入ります。

○すぐ始められる
必要な物は揃っているので、何を揃えたらいいのか迷う必要がありません。器具の役割を早く覚えるためにも、使ってみることが一番の近道です。

飼育セットの短所

飼育セットの短所としては次のことがあげられます。

○素材がチープ
これはいたしかたありません。しかしながら材質の安さをデザインで補っていますので、十分鑑賞には耐えられるレベルですし、耐久性についてもしっかりしています。もちろん中には高級志向のものもありますが、必ずしも安い方の性能が劣っているとは限りません。

○飼える生き物に制限がある
飼育セットには、それぞれ特定の生き物の飼育を対象にしたセットが組まれています。例えば熱帯魚だったり、ザリガニだったり、カメだったり……。ですから、もしちょっと変わった生き物を飼育しようと思った場合は、それなりに工夫が必要になってくる場合もあるでしょう。

飼育セット選びのポイント

飼育セットと言っても実に多くの種類がありますし、特に観賞魚用品専門メーカー以外から発売されているものの中には、実際の飼育には向いていないものもあります。そんなわけで、数ある飼育セットの中から、より生き物に優しいつくりのセットをセレクトすることはとても重要なポイントなのです。大切な生き物がより幸せに暮らせるような、そんな飼育セットを選んであげたいものですよね。

水槽の形

水槽の形というのは実はけっこう重要です。それは水中の酸素と深い関係があるからなのです。熱帯魚をはじめとして多くの水生生物は水中に溶け込んでいる酸素を取り込んで生きていますから、その意味でももちろん酸素は重要なのですが、実は他にも理由があるのです。それは次のようなことによるものです。

水槽の中で水をキレイにしてくれる重要な微生物は、酸素があるほどたくさん殖えて、水をキレイにしてくれます。

逆に熱帯魚に病気をもたらす病原菌の多くは、酸素が少ないほどたくさん殖えて、水をキタナくしてしまいます。

ですから水槽の中の水にはできるだけ多くの酸素が溶け込んでいることが大切になってくるのです。そして水に酸素が溶け込むのに重要なポイントのひとつが、水が空気と触れる表面積の大きさです。そのため、ここで水槽の形が重要になってくるのです。金魚鉢のような口がすぼんでいる形では、水量に比べて水面がとても小さくなってしまいます。逆に口が広く水深が浅い水槽はそれだけ水量に比べて水面がとても大きくなります。ですから後者のほうが、よりたくさんの酸素が溶け込みやすいと言えるのです。エアーポンプで空気を送ることももちろん有効ですが、それよりもまず、水面の大きさが水に溶け込む酸素の量を左右します。中には例外もありますが、飼育セット選びでは水槽の表面積が大きいかどうかは飼育セットを選ぶ際の重要なポイントのひとつと言えるでしょう。

フィルター(ろ過器)

水槽に流れを作り、水をキレイにしてくれるフィルター(ろ過器)も重要です。飼育セットに多く見られるのが、外掛け式のフィルターと水中フィルターです。外掛け式フィルターは設置や掃除が簡単なので管理がとても楽です。ただ、ろ過能力が低いので、こまめに掃除をしたり、定期的な、ろ材の交換が必要です。そして意外に水流が強力なため、長いヒレを持つ魚や稚魚では吸い込まれてしまうおそれがあるため、こういった生き物は入れないほうが無難です。一方、水中フィルターの方はろ材がスポンジのタイプであれば、ろ過能力は高いのですが、夏場にモーターの熱で水温が異常に上がり、極めて悲しい結末になることがありますので、夏場の使用には常にクーラーのある部屋に置くなどの注意を要します。

なお、事故のおそれがありますので、淡水用のろ過器は絶対に海水には使わないようにしましょう。

保温器具

熱帯魚などの熱帯性の生き物を飼育するには冬場の保温器具は不可欠です。ヒーター(発熱器具)とサーモスタット(温度調節器)がセットになったものと、オートヒーター(発熱と温度調節機能を備えた器具)の二種類があります。オートヒーターは設定が必要なく、ただ水槽に入れておけば良いので、初心者の方でも安心して使うことができます。ただ、あらかじめ決められた水温にしかならないため、低温を好む熱帯卵生メダカや、高温を好むディスカスなどの飼育にはあまり向きません。なお、保温器具のついていない飼育セットで熱帯性の生き物を飼育する場合は保温器具を別途買い求める必要がありますが、その場合はやはりオートヒーターが手軽で便利です。

飼育セットの種類

飼育セットは生き物の特性に合わせて、いくつもの優れたセットが用意されています。何を飼おうか考え中の時は、飼育セットを探しながら飼う生き物を決めるのも楽しいものです。

小型熱帯魚用の飼育セット(グッピー、淡水フグ向き)

超低価格で熱帯魚が飼育できる熱帯魚の飼育セットは、初めて生き物を飼うという方にもお勧めのリーズナブルかつ奥の深いセットです。あまり多くの魚は入れられませんが、初心者からエキスパートまで、用途に合わせて活用できる逸品です。シンプルな構成ながらも理にかなった内容で、エキスパートは低予算で多くの水槽を用意できるこのセットを飼育繁殖の難しいとされる種類の繁殖にも活用しています。ただし付属のろ過器はモーターがけっこう強力なので、熱帯魚の種類によっては水槽中をぐるぐる流されてしまう場合があります。そのため、ベタやグラミーなど、遊泳力の弱い熱帯魚には不向きです。このタイプはグッピーや淡水フグ、オトシンクルス、ホンコンプレコなどの飼育に向いていると言えるでしょう。ところで実はこのろ過器、海水での使用にも対応しているので、汽水性熱帯魚(半海水性熱帯魚)の飼育にも使えます。

小型熱帯魚用の飼育セット(ベタ、グラミー向き)

水流の苦手なベタやグラミーを飼育するには水の流れのない止水型の飼育セットが向いています。ろ過器による音や振動は気になる人には耐え難いものとなってしまう場合がありますが、止水型の飼育セットはフィルターを使わない仕様のため、熱帯魚の飼育セットとは思えないほど静かです。寝室やプライベートルームのようなリラックスしたい場所に設置するならこのタイプが適しています。なお、水流が全くないため、多くの酸素を必要とするオトシンクルスやプレコストマスなどの飼育には不向きです。

参考:水槽

金魚用の飼育セット

金魚は意外に大きくなりますので、できるだけ大きな水槽のセットを選びましょう。金魚鉢のような口のすぼんだ飼育容器で飼育する場合は、特に酸素不足になりやすいため、金魚の数をできるだけ少なくするのがポイントです。エサは常に控えめに、また、水換えの時には水温が急激に下がらないようにご注意を。

ザリガニ用の飼育セット

ザリガニを飼うのであれば大きめのプラケースが適していますが、小型ザリガニを飼育するのであれば小型ザリガニの飼育用品でご紹介している内容は、安価ながらも実用的な飼育セットです。エアーポンプ式なので外部式フィルターのついたセットより音と振動が大きいのはやむを得ないところですが、その分、フタにほとんど隙間がなく、また、スポンジフィルターの採用により、繁殖した場合でも生まれたばかりの稚エビが吸い込まれてしまう心配もありません。あとは砂利を敷いたり、流木などを入れてあげると嬉しそうに歩き回るでしょう。フィルターのスポンジは目詰まりすると濾過能力が落ちるため、水替えの時などに、捨てる水で、すすいできれいにします。小型ザリガニは飼ってみると、とてもよく慣れる本当に魅力的で可愛い生き物であることがわかります。はじめて生き物を飼う方にもおすすめです。私は付属の塩素中和材は使わずに、汲み置き水(1~2日、生き物を入れずに置いておいた水)を使っています。

参考:1匹だけで殖える不思議なザリガニの飼育法

カメ用の飼育セット

カメを飼育するために構成されているカメ飼育セットは、500円玉くらいの大きさの子亀をしばらく飼育するには手軽で便利なセットです。ですが、実はカメは意外に大きくなり、そして多くの種類が活発に活動する生き物なのです。カメを飼育する場合はまず、将来的に大きな飼育容器を用意してあげられるかどうかをしっかりと考える必要があります。特に可愛い子亀を目にする機会の多いミドリガメは、日本在来のカメよりもはるかに大きく強くなり、飼いきれなくなったミドリガメが池などに放されてしまうと、もとからいた生き物の住み家を奪ってしまい、日本の自然環境にとりかえしのつかない深刻な被害をもたらしてしまいます。生き物の飼育はお子様の情操教育の一環としても、健やかな心の成長を育むのにとても大きな意味を持つと思うのですが、その一方で、安易な飼育、ましてや親御さんの「捨ててきなさい!」のひと言は、「飼いきれなくなった生き物を野外に放すのは正しいこと」という意識をお子様の純粋な心に刻んでしまうかもしれません。もしこのことが、生涯にわたってお子様の人格に影響を与えてしまうとしたら、それはやはり自然にとっても、はかりしれない脅威となってしまうでしょう。親から子へ、自然をいつくしむ心がいつまでも受け継がれていくような、そんな生き物飼育が、やっぱり幸せですよね。

参考:カメ飼育の基本

トビハゼ用の飼育セット

トビハゼのための飼育セットというのは販売されていないのですが、トビハゼの飼育用品でご紹介している構成が実績があります。エサはアロワナ用の人工飼料を汲み置き水でふやかして陸上で与えます。よく慣れ、手からエサを食べるようになります。ただし、人の手には石鹸や汚れがついている場合がありますので、毎日の給餌はプラスチックのスプーンなどを用いた方が無難です。また、外に出て行ってしまわないように、わずかな隙間も必ずピッタリとふさいでおくことも忘れずに。水が蒸発して水位が下がると海水が濃くなりますので汲み置き水を足します。汲み置き水とは、空いている水槽やプラスチックの米びつなどに水を1~2日ほど汲みおいて水道水の塩素を飛ばした水のことですが、エサをふやかしたり水替えに使ったりと、たいへん重宝しますので常に用意しておきます。トビハゼは個人的にもっとも好きな生き物のひとつです。そのあまりの可愛さに、一度でも飼育すればきっとトビハゼの魅力にとりつかれてしまうことでしょう。

マガキガイの飼育セット

初めて海の生き物を飼いたいという方におすすめなのがマガキガイです。海水魚水槽の掃除用として売られていることの多い熱帯性の巻貝ですが、このたいへんユニークな容姿とユーモラスな行動に興味の尽きない生き物です。マガキガイを飼うのに必要な飼育用品ですが、一般的な熱帯性海水魚用の飼育セットで問題なく飼育することはもちろん可能なものの、安価なセットでは、なかなかフィルターにこだわりのある製品を探すのは難しく、そういった製品はとても高価です。ですので、こちらのマガキガイの飼育用品を参考にしていただければと思います。なお、マガキガイがヒーターに乗っかって火傷をしないように、とにかくヒーターカバーは必ずつけてあげて下さいね。

参考:マガキガイの飼い方

メダカ用の飼育セット

タナゴやメダカなど、日本の小型淡水魚の飼育に適したメダカ飼育セットも人気があります。日本のメダカはよく観察するととても興味深く美しい生き物なのです。じっくり飼いこむと発色もよくなってきて、えもいわれぬ風情をかもしだします。特に原種であるクロメダカは繊細な色調が絶妙で、地方によって色模様にも微妙な特徴があり、玄人好みの魚でもあります。派手さこそありませんが、メダカは長く飽きの来ない本当に素晴らしい生き物です。ところでメダカは実は上から鑑賞するのも粋な楽しみ方。中でも手軽にビオトープが楽しめる鉢型のメダカ飼育セットは、濾過器による音や振動が全くないため、静かな雰囲気に浸りながら、思わず時を忘れてメダカならではの奥深い魅力に引き込まれてしまうことでしょう。水とメダカと草と鉢が織りなす調和の世界は、まさに幽玄の至りです。


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